[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック
ボタンの掛け違いというか、チョットした不注意というか、予兆のような小さな出来事が
京都を出発するときからすでに始まっていたんだと、今になってみれば思えてくる。
奥只見
大白沢
荒山沢
大ハゲ沢
平ヶ岳
沢登り
8月14日 河原(以下全員敬称略)が家族で尾瀬へ先行しているので、秦谷が上田・大坂の順にピックアップして京都を出ることにしていた。20:00に予定通り上田を拾って大坂の待つ川端五条の交差点へ向かうが、そこへ大坂から電話があり待ち合わせの場所を間違えたかもしれないとのこと。実は場所を間違えたのではなく時間を間違えて30分早く来てしまい、我々が来ないので電話を入れた模様。彼は津久井さんのところにも電話を入れていたようでお騒がせしました。20:45には3人揃って東インターから名神に乗り、行けるところまでいくという秦谷の運転で関越道の小出インターを目指す。秦谷・大坂が山の話で盛り上がってきたので、上田は運転交代に備えて仮眠。ふと目を覚ますと速度が落ちている。北陸道で渋滞?と思って道路表示を見ると関ヶ原から渋滞と出ている。なんとそこは関ヶ原の手前だった。話に夢中になって米原ジャンクションを通り過ぎてしまったようだ。関ヶ原でUターンして仕切りなおしで、北陸道に乗る。その後上田・秦谷と交代して順調に高速を走り、コンビニを確保するために手前の堀ノ内で下りて行動食と朝食を購入。国道17号から352号にも無事入ったし、あとはグネグネ道ながら2時間で鷹巣へ余裕!と思っていたら、道路の様子がおかしい。やたら落石や土砂・木の枝が多い。雨が続いていると聞いていたので多少は仕方ないのだが、車の走った形跡がないような…。そんな道をグネグネ・クネクネと銀山平へ。左側に橋があって交差点になっている。この橋はシルバーラインと繋がっていて、そちらから来れば早くて快適だったらしいが、後の祭だった。河原からの伝言が上手く伝わっていなかったようだ。恋の俣で松田号が止めてあるのを確認したりしながら走り続け、予定の範囲内で5:00に鷹巣で河原と合流、朝食を摂り砂子平へ秦谷号で向かう。
8月15日 砂子平には車を止めておくスペースが見当たらないので、アミダに当った上田が車を戻し、その間に装備分けをして出発準備をしておくということにする。、鷹巣へ行き3kmを歩いて戻ってくると上田の担当分が残されている。ザックへと思って袋を手に取るとズシリと重い。食料らしく2kg以上ありそう。個人の持ち物を共装として提供する分はすでにパッキングしていたのでツエルトやシーバー・ガスヘッド・ガスカートリッジ小・ヌンチャク・カラビナ・スリングなどがすでにザックの中にあり、外にはストックも付いている。そこへ食料・ハンマー・ロープ・ハーケン・ツエルトが加わり、単独行ができるくらい物持ちになった。3kmを歩いてきたご褒美のようだ。その後上田は、沢以外にザックの重さとも戦うことになる。
2002.08.15〜17
7:00に砂子平を出発し、一人乗りロープウェイのような物に乗って増水して濁流となった只見川を渡る。途中でバランスを崩したら只見
湖まで行ってしまいそう。ロープウエイを降りてからは踏み跡にそって大白沢に入り、川岸を奥へ進む。東オオタツボ沢出合の手前まで
続いているはずの踏み跡だが1時間くらい行ったところで河原に出て続きがわからなくなる。ここで一本とって、それからはまだ広い川の
中を歩く。雪稜に入会したばかりの秦谷も順調そうだ。1/25000では魚止沢出合や東オオタツボ沢出合、そしてその先の不動滝などをル
ート確認の目印にしていたが、確定できないまま遡行を続ける。河原・大坂が遡行図を持っていてそちらとも照らし合わせるがどうもはっ
きりしない。この遡行図も迷いを生む原因になってしまった。
出発してから5時間、滝らしい滝に出会わないままクロウ沢と荒山沢の出合らしきところに到着。右俣は水量が多く沢の幅も広く、左俣は
入り口がゴルジュで地形図通りだが遡行図にあるように巻く必要はなさそう。水量は右俣:左俣=3:1くらいの差がある。どちらにも偵察
に行ったが、右俣には地形図にあるコビキキの滝が見当たらず、左はその奥に続く沢の長さを考えると狭すぎるように思えるし、というこ
とでクロウ沢と荒山沢の出合ではないと判断して右俣に進む。この判断は結果的には間違っていたのだが、間違いが全て悪いという訳
でもないことをその後しみじみと味わうことになる。またこのときに、夕方に起こる出来事など誰も知る由もない。ただ、雲行きが怪しくなっ
ていたので、ここ数日と同じように夕方雨になると話はしていた。
右俣を進むと沢も徐々に狭まり、ゴルジュ帯に雪渓が現われたりするが相変わらず滝は3mから5mで直登やヘツリでクリアして行く。右岸に30mほどの滝がかかるが遡行図にはなく、現在位置の確定はできない。さらにゴルジュ帯の中を進んでいると15mほどの滝が出現した。ここまでの滝では一番大きく、沢の向きや標高から地形図にある大ハゲ沢の大滝だと推測する。この推測が確定になったのはこの後に続いた2つの15 m前後の滝を越えてからだが。自分たちがいるところがやっと地図上で確定でき、しかも更に重要なことにも気付くことになった。そう、目的の大白沢池からどんどん遠のいているのだ。しかし、そんなことをどうするか相談している余裕はなかった。雨はポツポツ落ちてきているしビバーク地を探しに早くゴルジュ帯を抜けださなければならない。
3つの大滝は上田・河原・上田の順にリードしてロープを出しながら超える。大滝の
二つ目は左岸側から2段になって本流が流れ、大きな木が釜に橋を懸けるように
倒れている。右岸側はチョックストーンの空滝になっている。先行した大坂がルート
を見つけられずに迷っている。河原が右岸の空滝を登るように指示を出すが、目で
見ただけで行けないというように手を振っている。上田が先頭を交代しようかと叫ぶ
が必要ないという返事。河原が交代して上田と2人でルートを探ったところ空滝を登
りテラスでザックを引き上げることにする。
河原が空滝の垂壁と斜めになった大きな岩の間をザックなしで登る。次の一手が
無いかに思われたが、滝の中央にある大きな岩の後ろが空洞になっていてそこから
滝の流れを突っ切って表側のテラスへ這い出た。テラスは広いようでザックをロープ
で引揚げることが出来た。この滝の通過スピードが次の滝で人の命を左右すること
になるとはこの時は誰も思っていないが、スピーディーな決断と行動は必須であると
痛感する。アイディアがなければ素直にトップを交代するべきだ。より厳しいところを
目指すということだが、今回のことを教訓として学んでほしい。

3つ目は滝の落ち口がやや狭まり、中央をドーと音をたてて流れ落ちている。大きく巻くにしてもゴルジュでそう簡単に取り付けそうにない。上田が左岸を斜めに登り滝の真横から直登して最後は潅木を頼りに登りきったので、ロープを出してプルージックで河原・大坂が続く。河原が登っている途中から雨が激しくなってきて、大坂が登り終えた頃には土砂降りになった。最後の秦谷をトップロープで上げるためのビレーの準備を終えて、秦谷が登り始めた数十秒後に沢の音がゴーという大音響に変わった。上田はビレイのために沢に背を向けていたので気付かなかったが、振り向いてみると滝は水量が3倍ほどに増え、濁流になって秦谷のいるほうへ流れ落ちている。彼は水面から1m弱の所で待っているはず。ヤバイ!!けど、ロープに急激なテンションはかからない。どんどん引ける。あ、赤いヘルメット!そう秦谷は上田が結構てこずった潅木の下を何の躊躇も無くすごい勢いであがってきた。「ああ、よかった。」と思わず声が出てしまったが、安堵感に浸っている余裕など無い。ビレイをしている足元を飛沫が洗っている。秦谷を更に一段高い左側の岩の上に上げて、とにかくロープを手繰って丸まったまま秦谷に投げ、ビレイのセットを解体して逃げるように秦谷の方へ上がる。後ほど秦谷から聞いたことだが、沢の色がみるみる変わり急に増水してきたらしい。
上流でビバーク地を探していた河原・大坂が逃げ場を失う前に戻れたようで、河原が上へ上がるように叫んでいる。とりあえず、目の前にあった斜面を登る。2〜3m登ったところに畳1畳位の平らに近い笹薮があった。なんてラッキーなんだ。そこで一息つく。話に聞いていただけの鉄砲水を目の当たりにしてどの顔も強ばっている。雨の状況は変わらないので沢の水位がどの程度まで上がってくるかわからない。、そこから更に3mほど上がった斜面まで動き、タープを張って様子を見ることにする。そこで初めてお互いが直面した状況を話したり、大ハゲ沢のゴルジュ帯出口の大滝の上にいることや今夜雨が止んだら朝には水が引いているので沢を間違っているがこのまま進んで白沢山と平ヶ岳を結ぶ稜線に出ることなどを確認する。気持ちも少し落ち着いてきたのでお湯を沸かしてお茶を飲んで温まる。ここで上田の持つ食料袋を空けてビックリ。粉クリームと角砂糖がそれぞれ1袋丸ごと入っている…。絶句。紅茶を飲んで更に安心したのか、大坂・秦谷はセルフビレイを取って居眠りを始めてしまった。




雨も落ち着いてきたのでコックリ、コックリしている二人を残して河原・上田は先ほどの平らに近い笹薮に下りて笹や潅木の枝を切って4
人がザックの上に座れる空間を作る。その上にタープを張り横にはツエルトを下げて今日のビバーク地とした。各自ザックを下ろしてセル
フを取って、なんとか雨が凌げて座れる場所を確保するが、下に下りてきたので濁流が見えてなんだか落ち着かない。定時にシーバーで
他チームをコールしてみるが全く反応がない。他チームも沢にいるのだろう。
夕食を各自行動食でで簡単に済まして、蚊取り線香を手に持ちながら話をしていたが、大坂がジュラフカバーに入って無理矢理
丸まったのをきっかけに20時30分には就寝。とはいっても、沢を背に座っている河原・上田はそう眠れるものではなくセルフに寄りかかっ
て寝ようとはするが、後ろに倒れそうですぐに目が覚める。濡れた沢用のウエアの上にもう1枚着てその上にレインウエアを着ているのだ
が、やっぱり寒い。南の方の空が時々明るくなる。雷が鳴っているようだ。予定通り行っていたら今頃は雷雨の下で同じようにビバーク
か。他のチームも同じように雨に降られてたいへんやろな。2日目やし。など考え事をして気を紛らしたりして1時間に10分も寝ただろうか。
ようやく朝はやってきた。
大滝の2つ目
ビバークした笹薮から見た沢
PART1